低真空中におけるレーザ生成プラズマ
/レーザトリガ放電機構に関する研究

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[研究背景]
 各国共同による国際宇宙ステーションを代表するように,宇宙機の規模の拡大とともに宇宙環境での高電圧・大電力技術の検討が必要となってきた.宇宙機の表面においてはプラズマ圏に存在する荷電粒子の衝突などによって気体放出が起こる.気体放出は,局所的に圧力を上昇させるため,絶縁物表面上において放電を起こす要因となる.また,宇宙空間に存在するプラズマなどの付着およびX線などの衝突によって宇宙機表面に帯電が生成される.このような帯電・放電現象によって絶縁物が劣化したり,宇宙機内部の電子機器が故障することが報告されている.将来宇宙開発をするめるにあたり,高電圧適用を考慮した宇宙機の信頼性の向上のためには,真空中におけるこれらの現象の相互関係を明らかにし,その抑制技術を確立する必要がある.そこで,低真空環境下でレーザにより生成されるプラズマ発光の観測を通して,帯電・放電現象および気体放出とそれらの相互作用のメカニズムの解明を目指す.ここで得られる成果は,宇宙機における絶縁設計の指針を構築すること,および宇宙における高電圧技術応用に道を拓くものである.

 このような背景における,基礎研究として真空中におけるレーザ生成プラズマおよびレーザトリガ放電の測定を行った.
これまでの研究により,
・TEO-CO2低真空自由空間中に存在する残留気体によって生成されるレーザ生成プラズマの基礎特性の取得
・各種固体ターゲット上におけるレーザ生成プラズマの真空圧力依存性,材料依存性の検討。
・真空中におけるレーザトリガ放電の物性解明。
を行い,宇宙環境下における帯電・放電現象に対する新たな知見を得ている。.


[学術論文]
(2)山納 康, 大橋 敦,加藤 克己,大久保 仁
“固体ターゲットへのレーザ照射による真空中プラズマの発光形態”
電気学会論文誌A(基礎・材料・共通部門誌),平成11年6月

(1)大橋 敦,山納 康,加藤 克己,大久保 仁
”低真空中でのレーザ生成プラズマおよびレーザトリガ放電の基礎特性”
電気学会論文誌A(基礎・材料・共通部門誌),平成11年4月


[発表実績]

(2) H.Okubo,A.Ohashi, Y.Ymano, K.Kato
"Laser-induced plazma and laser-triggered discharge characteristics in low vacuum"
18th International Symposium of High Voltage Engineering, Netherland, 1998

(1) H.Okubo, K,Ota, S.Yuasa, N.Hayakawa and M.Hikita
"Laser-induced discharge characteristics in low vacuum with residual helium gas and air"
17th International Symposium of High Voltage Engineering, California, 1996

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